「種とゲノム編集の話-part2」

現在、「-part2(タイトル未定)」を制作しています。

「種とゲノム編集の話ーpart2」

科学技術は「生命の根幹」まで変えようというのでしょうか。
「ゲノム編集」は特定の遺伝子を改変する技術ですが、それは今、薬品や医療から、食べ物として直接私たちの口に入るものまで、開発が急速に進められています。特に日本ではゲノム編集されたトマト、鯛、トラフグなどがすでに商品となって流通しています。この商品化は世界中で日本だけが突出しています。 ゲノム編集食品には安全性審査も表示も課されていません。経済的な効果だけが優先され、いわば無規制の状態です。企業の知的財産を守るという名目で、必要な情報も公開されていません。

いったん変えてしまえば元に戻すことはできない、環境に放たれたら増殖しながら広がっていく、人はそれをコントロールできない。そのような技術をこんなに乱暴に推し進めて良いのだろうか、という思いに駆られて、私たち(KO-OK小林大木企画)は「種とゲノム編集の話」として一連の作品を作っています。2021年に第1作を発表し、現在「―part2」を制作しているところです。

遺伝子操作の技術も、ゲノム・遺伝子という生物学の知識も専門性が高くて、素人の私には理解が及ばない、口出しできない、国、経済界、学界あげてのこの大きな推進の流れを少しでも変えることなど無理ではないか、としばしば無力感に囚われます。でも、自分の口に入れるものが変えられようとしている、自分を含めた生きものの存在そのものに手が加えられようとしている、ならば私もこの科学技術の是非を問う当事者だ、市民誰もが当事者であるはずだと思うのです。

立ち止まって考えるーー 食べるとは? 生きているとは? 私たちの体に中で、細胞の中で遺伝子はどんな働きをしているのか? それを人の手で変えるということは、何を変えることになるのでしょうか?

製作費のご支援と制作へのご協力をお願いするために、クラウドファンディングも立ち上げます。よろしくお願いたします。

魚 イシモチ

「種とゲノム編集の話ーpart1」

「苗は自分の力で育つ」と語る山形県の米作り農家・高橋保廣(たかはし やすひろ)さん。
その言葉にひかれて、山形から送られてきた種籾を私たちの住む埼玉県飯能市(はんのうし)に蒔き、映画を撮り始めました。2018年春のことでした。
休耕地を耕し無農薬自然栽培に取り組む若い農家のご夫婦と知り合い、その水田の一画を借りて苗を植えました。じっくりと腰を据えて、稲の育ち、植物の時間に向き合おうと、カメラを回しました。
固定種野菜の種採りをして種の交換会をしている農家、種が危ないと訴えている種屋さんにも出会いました。
けれども映画制作の途中から、「種」に関わる状況が急激に変わってきました。
ゲノム編集(作物、動物、人)のニュースが流れ始めました。
遺伝子組み換えからゲノム編集へ。
いったいゲノム編集とは何なのか。何が起きようとしているのだろうか。
私たちは分子生物学者・河田昌東(かわた まさはる)さんを訪ねました。

河田 昌東さん(分子生物学者)

河田さんは長く研究の場に身を置き、国や企業から独立した立場で遺伝子組み換えの危険性を発信してこられた方です。ゲノム編集の問題点だけでなく、遺伝子とは生命にとって何なのかを語ってくださいました。

遺伝子組み換えの表示をさせた消費者たち

ゲノム編集食品が表示もなしに売り出されようとする時、もう一度「歴史」を振り返ろうと思いました。1996年、遺伝子組み換え食品・作物が登場した時、 「表示」を求めて広範な市民運動を巻き起こした人たちがいます。「表示」は一定の成果をあげ、以来日本では遺伝子組み換え食用作物の商業栽培はされてきませんでした。
「分からないものは食べたくない。食べさせたくない。」消費者として一番基本的なところから運動を担ってきた人たちの声を聞きました・・・

「-part1」から「-part2」へ

「ーpart1は2021年5月に発表し、コロナ禍の中で生協団体など食の安全や環境に関心を持つ人たちの間で主にオンライン上映会が開かれ、好評をいただいてきました。
しかし同年秋にはゲノム編集トマトに続き、映画発表時にはまだ研究段階とされていたゲノム編集魚マダイとトラフグがたちまち商品化されました。さらに2023年3月にはアメリカ産のゲノム編集トウモロコシ、そして10月にはヒラメも届出されました。
「ーpart2はこれらゲノム編集の内容を具体的に見て、生物・環境にとっての意味を考えます。

倒れた稲を立て直して束ねる
倒れた稲を立て直して束ねる

私たちは映画を撮りながら5年間、2アール弱の小さな田んぼを借りて友人たちと稲を育ててきました。課題は毎年、雑草と稗(ひえ)、倒伏(とうふく)と水。稲に寄り添うように生えてきて稲を凌駕する稗。代かきや草取りに精を出してようやく実りの秋を迎えますが、水の引かない田んぼで毎年、沢山の稲が倒れてしまい落胆しました。風が強いせいなのか、ササニシキの丈が長いためなのか、水はけが悪くて地盤が緩いからなのか。米作りは難しい、特に水。私たちは水をコントロールすることができませんでした。水田は一軒の農家だけではなく地域全体で維持されているのだということにも気づかされました。

苗が「自分の力で育つ」姿を見たいと思って始めた米作りですが、稲という植物と周りの環境との関わりを間近に感じることになりました。編集を進めるなかで稲の種の中にある秘密 ― ゲノム ― に向き合います。

種採りを繰り返す農家は言います。
「種はその土地を覚えていて、その空気を覚えている。」
農家が語る種の世界と、分子生物学が解き明かすゲノムの世界はどのように交差しているのでしょうか? 

ミヤマコカブ(蕪)の原種を採る畑(飯能市顔振峠 標高500m)「種とゲノム編集の話ーpart1」より

私たちは20年前に埼玉県飯能市に引っ越してきました。ここには“ 種採りを繰り返してその土地に合った品種となってきた「固定種」という種がある ” ということを教えてくれ、その固定種を専門に扱っている種屋さんがあります。固定種の野菜を育てる若い就農家も複数います。山間部と小さな市街地と農業地域とを併せ持つこの土地は映画の重要な要素になりました。土地が生きものを育む。そして生きものが土地をつくる。


「ーpart2」は 新たに海辺の町が舞台になります。

京都府宮津市を訪ねました。天橋立で名高い宮津湾と山を隔てて隣り合う栗田(くんだ)湾。栗田漁港では朝、水揚げされた魚を地元の人たちにも売る「浜売り」が行われていました。埼玉の私たちは見たこともない魚も揚がります。今晩のおかずにとトレトレの魚一匹を買っていく近所のおばあさんがいたりして、海辺には海辺の豊かな生活が営まれています。

その栗田漁港のすぐ隣に「ゲノム編集トラフグ」の陸上養殖場がつくられたことを、地元の人たちは全く知らされていませんでした。宮津市がそのゲノム編集トラフグを「ふるさと納税返礼品」に指定したことを知って二人の女性が行動を起こしました。

ゲノム編集とは何か

マダイは筋肉を増大させるために、成長を抑制する「ミオスタチン」というホルモンの遺伝子を壊します。トラフグは急速に太らせるために、食欲抑制の働きをする「レプチン」というホルモンの受容体遺伝子を壊します。

開発する研究者も企業も政府も、“ゲノム編集はある特定の遺伝子を壊しただけで、自然界の突然変異や従来の品種改良と変わらない。だから安全性審査は必要ない”というスタンスです。
これは「1つの遺伝子は1つのタンパク質を作る」という従来の定説に基づいた考え方です。

しかし生物学の知識は大きく変わりつつあり、今日では                                   「1つの遺伝子は1つのタンパク質を作るだけではない」ことがわかっています。
だからある特定の遺伝子を壊しただけでも目的以外のタンパク質を作ったり壊したりしてしまうことがあります。しかも1つのタンパク質は1つの機能を持っているだけではありません。

例えばトラフグで働きを壊されたレプチンというホルモン(タンパク質)は単に食欲を抑制するだけではなく、多彩な生理作用をしていると言われます。ヒトの場合には肥満との関連から研究が進んでいて、血圧の調整や糖の代謝、性腺機能調節、骨生成抑制などにも関係していることが報告されています。では魚の場合はどうなのでしょう。
食卓に上がるゲノム編集トラフグは健康な魚と言えるのでしょうか?
そもそもトラフグという生きものにとってレプチンの働きを壊されるということは?

ゲノム編集食品の商品化がこれほど急速に進められているのは世界中で日本だけです。それは何故なのか? 政治的な背景、社会的な背景を探ります。
何を食べるのか、食べものをどう作るのか・・・それはどんな社会を良しとするか、どういう社会をつくるのか、に直結しています。日本は今どんな方向に進もうとしているのでしょう。

ゲノム編集は食品だけでなく、植物、動物、医薬・医療、人の生殖に関わる分野まで、あらゆる分野に広がっています。遺伝子を操作するゲノム編集技術の利用はどこまで許されるのでしょうか。
専門的な知識を持っていない私たち消費者は、不安を感じていても意見を言ったり議論に参加したりすることに躊躇してしまいます。とくに中高年世代の多くは、ゲノムや遺伝子と聞くと(コロナウィルスやmRNAワクチンによって、身近な世界になってきたとは言え)難しいと尻込みしてしまいます。その溝を越えて主体的に考えることができるように、消費者と科学知識を結ぶ「架け橋」となる映像表現を模索しています。生きていく上で必要な「基礎的」な科学知識とは何だろうと問いながら。

【作品の長さ】45分~60分
【制作スケジュール】予定
  ・2024年2月~4月 ロケ収録追加
  ・2024年2月~6月 編集・仕上げ
  ・2024年7月 完成試写会(関係者・支援者向け)
  ・2024年8月以降 一般公開
【撮影】小林茂樹 
【編集】小林茂樹・大木有子企画
【制作】KO-OK小林大木企画

「―part2」制作費の一部をクラウドファンディングで募ります。

【目標金額】100万円。 

 ★スタート日程が決まり次第、お知らせします。

【ご支援金の使い途】
 撮影機材と編集機材の更新が必要です。ロケ取材費も足りません。
  ・機材購入費(撮影機材・編集機材など)約50万円
  ・ロケ収録費・外注費など 約30万円
  ・お礼の経費とクラファン手数料 約20万円

●制作資金の他にもう一つ、クラウドファンディングの大きな課題は映画制作に積極的に関わってくれる人を募ることです。私たちは小林茂樹・大木有子の二人で制作してきましたが、広範な人々に届く映画となるためには、制作過程に複数の熱意ある協同者が必要です。
制作会議に参加する、スタッフとして実際に制作に加わる、etc. 
積極的に関わってくださる人を募ります。

暫定プランですので、内容変更になる場合もあります。

❶ お礼と進捗状況を伝えるメールを差し上げます。

❷ 「種とゲノム編集の話ーpart1」をクラウドファンディング期間中視聴できます。
期間中いつでもオンライン視聴できます。先ずはご覧になってご友人にも情報を伝えてください。

「種とゲノム編集の話 ―part2」の完成試写会にご招待

➍  エンドクレジットにお名前掲載(1名または1団体名)

➎ オンライン上映&交流会にご招待
「ーpart1」「―part2」のほか、本編に入れられなかった映像や私たちが輸入配給しているデンクマール・フィルム社の遺伝子組み換えに関する作品を上映し語り合います。

➏ 前作「種とゲノム編集の話」の個人鑑賞用DVDを進呈

▼以下は上映会開催権です。個人でも団体でも上映会を開くことができます。

➐ 「種とゲノム編集の話 ―part2」のミニ上映会開催権(1日、観客上限30人)

➑ 「種とゲノム編集の話 ―part2」の上映会開催権(1日、観客上限100人)

➒ 「種とゲノム編集の話」2作品の上映会開催権(各1日、観客上限各100人)
   「ーpart1」と「―part2」を1日ずつ上映できます。

➓ 「種とゲノム編集の話―part2」の大規模上映会開催権(1日、観客上限400人)

⓫  「種とゲノム編集の話―part2」と他1作品の大規模上映会開催権(1日、観客上限各400人)
「種とゲノム編集の話―part2」と、「ーpart1」またはデンクマール・フィルム作品のうち1作品、合計2作品を1日ずつ上映できます。

★以上のようなプランを考えています。
ご意見やご希望をメールや電話でお伝えいただけると、大変うれしく思います。よろしくお願いいたします。

クラウドファンディングの詳細と日程が決まったら、メールでもお知らせいたします。
ご希望くださる方は以下のフォームからアドレスをお送りください。

 【クラウドファンディング開始のご案内 アドレス送信フォーム】

☎042-973-5502 小林大木企画(小林・大木)
メール info♪ko-okfilm.com (♪は半角@)